新幹線の存在と地域の産業


『大都市に人口増加の傾向が』前の項目で新幹線が移動時間を縮めると書きましたが、新幹線の存在は地域の産業にも大きな影響を与えます。今、新幹線の駅がない街に、新しく新幹線が止まると、その街はどうなると思いますか?答えは、その地方のお金も人も、どんどん大都市に吸い寄せられていきます。

新幹線

新幹線が繋がると、地方の人は地元が潤うと喜びますが、人とお金が大都市に出て行ってしまう可能性もあるのです。大都市と地方の格差が2000年以降、大きく開いていることは、全国の地価の変遷を見るとはっきりとわかります。2000年はバブル崩壊後の「失われた10年」の真っ最中で、地価が低迷していた頃であり、人々は景気がよくなればまた地価は上がるだろうと考えていた時代でした。それから10年後の2010年、各県の地価はどうなったでしょう?
東京の最高路線価である銀座中央通りは、2000年の1168万円から、2010年には2320万円と約2倍に上昇しました。大阪も、東京に次いで高い上昇率を示しています。他の大都市を見ると、横浜、名古屋、福岡、京都、札幌、神戸、さいたま、仙台の9地域は上昇こそしているものの、東京ほどの勢いはありません。そして、それ以外の37都道府県はすべて、2000年よりもさらに路線価は低くなっています。つまり、2000年以降、失われた10年を過ぎたあとも、地方の土地価格は下がり続けているのです。これにより、地方の激安物件が増加し、それがひとつの不動産投資手法として確立しました。
2000年以前なら、成り立たなかったやり方だと思います。したがって、地価が下がるからだめだということではなく、新たな不動産投資のチャンスも生まれています。大都市への人口集中が進んだ原因は、新幹線だけではありません。もう一つの大きな要因として、K政権以降、公共投資を縮小し、地方にお金が回らなくなったということがあります。

都市

日本の地方の資産家というと、土木業にかかわる人たちが多く、彼らが地元にお金を落としていました。K政権以前の公共投資があった時代は、土木事業関係にお金が回り、ファイナンスが付き、銀行が潤うという流れを作っていたのです。しかし、K政権以降、お金が中央に集まったまま地方に流れなくなったために、状況が一転しました。その結果、四国の穴吹工務店をはじめ、地方のデベロッパーが倒産していったのではないかと私は考えています。このほかに、インターネット技術の進化で、すべての物事のスピードがどんどん速まり、競争に勝つために早さが求められるようになったという現状も、大都市への一極集中を進めています。どういう意味かというと、ビジネスでの対応を急がないと商売で負けてしまうので、取引先の近く、つまり大都市にいることが強みになるということです。逆説的ですが、これも現実のひとつです。