借り手市場の住宅ロ-ン


 一昔前は、個人がマイホームを取得するために、住宅ローンを申し込んでも、審査が厳しくてなかなか借りるのに苦労した時代があった。銀行としては、小口の個人融資をするよりも、金額の大きい企業を相手にしたほうが、儲けも大きいし、効率的であったからだ。
 ところが、経済活動が低成長になってきたのと、企業の資金のもとめさきの多様化で、企業の銀行からの借り入れは、しだいに減ってきた。これに慌てたのが銀行である。
 そこで、銀行は金額的には小口であるが、20年とか、25年というように長期にわたって、金利を稼げる個人の住宅ローンに目を付けるようになってきたわけである。
 今では、むしろ銀行のほうが「住宅ローンをご利用ください」とばかりに、個人のローン掘り起こしに積極的になってきている。
 そればかりか、ほかの銀行の住宅ローンまで「ウチで借り替えすれば金利が安くなります」と、住宅ローン市場の奪いあいをするようになってきているのである。
 したがって、これまで厳しかった審査も、どちらかといえば緩やかになってきているし、さらに、これ以外の消費者ローンや、教育ローンなどについても、銀行は貸したがっているのである。まさにローンは、いまや「借り手市場」になってきているのが現状である。これは今後も続くものと見られる。

家とお金

多くなってきた住宅ロ-ン世帯

 このように、住宅ローンが借りやすくなって来たこともあって、住宅ローンの利用世帯の割合は、年々増えつづけている。
 消費者ローンも含めて、ローンを利用している世帯の割合は、ある銀行の調査によれば、60%にも達しているが、その3分の1は住宅ローンになってきている。
 このような状況を見てみると、もはや住宅ローンは一部のマイホーム族のものだけではなく、教育費や、家電製品と同じように、家計の一部になりつつあるといえるであろう。
 これを年代別に見てみると、20代の比較的若い世代では、住宅、自動車、家電製品などの割合は、それぞれ15%くらいであるが、これが30代、40代などの中堅世代になってくると、きわめて高い比率を占めるようになってきているのが、明白である。
 いうなれば、住宅ローンは、むしろ借りているほうが当たり前の時代になってきているわけである。特に、このところの住宅価格の高騰で、手持ち資金による住宅購入はほぼ不可能となり、ますます住宅ローンが脚光を浴びてきている。
 しかし、この住宅ローン世帯が増えれば、増えるほど、返済能力の問題な大きくクローズアップされてくるわけであって、銀行の貸し付け攻勢とは逆に、ローンの落とし穴ということも考えなければならない。経済の原則がここでも働き、一方的に良いことはありえない。

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